元町には、ちんき堂がある。
私にとって神戸元町という街を誇らしく思う理由は、「ちんき堂が元町にあるから」という点につきます。
ちんき堂というのは、元町穴門商店街にある古本屋さんで、店主は『猟盤日記』などの著作で知られる戸川昌士さん。
- 作者: 戸川昌士
- 出版社/メーカー: ジャングルブック
- 発売日: 1996/02
- メディア: 単行本
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東のタコシェ、西のちんき堂、と並び称されるサブカル本屋さんなのです。(称しているのは私ですが。)
ちんき堂の「ちんき」は漢字で書けば「珍奇」。
神戸古書界のヴァンダーカマーというわけ。
ちんき堂は裸のおじさんの看板が目印ですが、これはヘタウマの帝王、キングテリーこと湯村輝彦画伯によるもの。
ちんき堂の宣伝用ポストカードなども全部湯村画伯のイラストです。
戸川さんが書く文章も面白いのですが、お人柄が大変すばらしく、知識の広さと深さ、センスの良さ、何をとっても脱帽します。
店にお邪魔してお話を伺っていると、やっぱりプロの目利きは違う、と思うことばかり。
ヘタウマの流れで言うと、戸川さんは特殊漫画家根本敬先生とも交流があって、根本先生の作品もよくちんき堂で売られています。
一度、戸川さんと根本先生がジャケットを描かれた空手バカボンの『孤島の檻』の話になりました。
- アーティスト: 空手バカボン
- 出版社/メーカー: ナゴムレコード
- メディア: LP Record
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「私、ナゴムのソノシートは全然持ってなくて、『孤島の檻』のソノシートが欲しいんです」
と言う私に、
「あれはソノシートちゃうで、EPやったと思うけど」
と即答の戸川さん。
「昔はよう出てたんやけどな。最近出てないな」
とも。
なんちゅう知識の深さ!
そして、
「あの原画が欲しいんやけど、根本にきいたら、誰かにやってもて今どこにあるかわからんのやて」
と、私とはレベルが違うウォント!
さすが戸川さんです。
ちなみに、ちんき堂のWebサイトはちょっと古いようなので、最新ニュースはブログ「ちんき堂ニュース」からどうぞ。
そのちんき堂のお弟子さん筋と言われる古本屋さんがトンカ書店。
女性の店主らしい、可愛らしいお店です。
トアウエストにあるので、Bo Tambourine Cafe からはこちらのほうが近いかもしれませんね。
ほか、元町高架下にはいくつか古本屋さんがありますが、ここは!ということはなく、ほかに元町で特筆すべきサブカル系古本屋さんといえば、レトロ倶楽部くらいでしょうか。
ずいぶん昔ですが、ミュージシャンで作家の中原昌也さんが神戸に来られた際、元町の古本屋さん・中古CD屋さんにご案内したことがあるんです。
何軒か回った中でも、レトロ倶楽部での買い物が一番多かったと記憶しています。
というわけで、サブカル者の触角が動く代表的な古本屋さんをご紹介しました。
とはいえ、古本や中古レコードというのは、足で動いて数を当たって掘ってなんぼ。
コレクターの業は深いですから。