本棚が見たいカフェとカレー屋
もう20年くらい前になりますが、『本棚が見たい!3』という本でオーケンさんの本棚が取り上げられたことがありました。
- 作者: 川本武,野辺律子,甲斐武佳,津藤文生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1998/02
- メディア: 単行本
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橋本治、唐十郎、市川崑といった錚々たる面々の中で、我らがオーケンさんは企画以来最年少だったそうです。
当時は、文学界とか学識者とかの大御所たちから、オーケンさんは若者のオピニオンリーダーとして注目される存在でしたので、異色と思われるこういう企画にもときどき登場されてたんですよね。
筋肉少女帯『キラキラと輝くもの』のアルバムジャケット=高橋葉介の江戸川乱歩『パノラマ島奇談』の表紙絵、というのが紹介されているので、筋肉少女帯のファンの方なら、ああそれくらいの時代か、とピンとくるかもしれません。
掲載されているインタビューを久しぶりに再読すると、高校時代に安部公房『箱男』を読んでいて教師に見つかったエピソードを話しておられました。
え、それって去年京都SOLECAFEのMCで語っていたのと同じ話やん!
20年前と現在がつながってびっくり。
ていうか、語る本人も覚えちゃいないが、聴くファンも覚えちゃいねえ!
まったく、オーケンさんはラッキーですよ、落語のように同じ噺を何度してもファンは笑えるんだもの。
(何を言っても、言わなくても、姿を見るだけでも喜ぶのが煮崩れたおでんですが。)
ちなみに、本の中で掲載されているのがこちらの本棚。
私の画像が下手くそでわかりづらいと思いますが、ちくま日本文学の寺山修司が2冊あったり、『極道忍者 ドス竜』が2冊あったり、『空手バカ一代』の巻がとびとびだったり、よぉーく見るといろいろ気になります。
それ以上に、普段からこんなにキレイに整理してるのかなぁ、取材に来るから自分で片づけたのかなぁ、それとも編集者たちが撮影のために片づけてくれたのかなぁ、とファンとしてはそのあたりも気になるところ。
お片付けができるかできないかはさておき、オーケンさんらしい本棚で今見てもほほえましくなります。
作家にかかわらず、本棚は人となりを象徴するものですが、それは飲食店も同じ。
お店に置いてある本のラインナップを見れば、そこのご主人の人となりがわかるってもんです。
そこで、今回は元町近辺で本棚が気になるお店をご紹介します。
私が最も、「これは!」と思ったのがこちら、Tea Room Mahisa 元町店。
Webサイトを見ていただくとわかるとおり、三宮元町近辺でオシャレさん御用達の紅茶のお店です。
ランチメニューも、スコーンにキッシュとオシャレ。(いずれも980円)
入り口はこんなかんじ。
オシャレ地獄といっても過言ではないオシャレカフェ、と思っていたら本棚が目に入りました。
まず、ハーブの本。
それはわかります。ハーブティーだってあるし、オシャレさんはハーブ食べますから。
でも、それに並んで『マリファナ・ハイ』があるので、「ん?」と気になってきました。
90年代サブカルチャーの本棚には必ず置いてあったなぁ、この本。
続いて、開高健、沢木耕太郎、藤原新也、近藤紘一といった旅行記が並ぶ棚。
ちょこちょこと、太宰治、三島由紀夫、カフカといった文学がはさんであり、ふーん、となります。
そして、中原中也、寺山修司、宮沢章夫、ときたあたりで、確信が出てきます。
明和電機、中島らも、町田康とくれば、もう間違いない。
隣の棚も覗くと、手塚治虫や永井豪、諸星大二郎のマンガも。
ズバリ、ここの店主はオシャレさんの皮をかぶったサブカル野郎だ!
そんなことを考えて一人ほくそ笑んでいたら、運ばれてきたランチのカレー(こちらも980円)を画像も撮らないでうっかり食べ始めてしまいました。
食べかけの画像でごめんなさい。
でも、上に乗ったパパド(インド料理の薄いせんべいみたいなもの)と多めのパクチーに、上記の旅行記とつながる雰囲気がありませんか?
そうそう、私の隣のテーブルでは、若い女性二人がお紅茶とスコーンでおしゃべりを楽しんでいたのですが、
「彼女、肩こりを治したくって通ってたんだけど、やっと覚醒したみたいで、宇宙人も受け入れることができるようになったみたい」
「よかったね~」
という会話が聴こえてきて、思わずカレーを運ぶスプーンが止まってしまいました。
オシャレさんの皮をかぶったオカルトかよ!?
一見すました人でも内実はわからないのが神戸のカフェってもんです。
もう一軒、本棚が気になるお店があります。
元町駅北側、兵庫県公館の南にあるカレー屋さん、サトナカです。
- ジャンル:カレーライス
- 住所: 神戸市中央区下山手通り5-1-1
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- (写真提供:普通の人ebisu)
こちらもとってもコジャレたお店で、カレーも美味しいです。
オシャレさと美味しいカレーだけだったら普通なんですが、なぜか店内には吉田戦車のマンガばかりが置いてあります。
ていうか、カウンターには各席に2冊ずつ、吉田戦車が提供されているのです。
なぜ吉田戦車!?
意外ですが、飲食店に吉田戦車はよく合います。
待つ間ひと笑いして、料理が来たらすぐ本を閉じ、カレーに取り掛かれるというのがメリット。
ストーリーものだと、こう素早くはいきませんから。
ちなみにこの日私が食べたのはきのこチキンカレーの並750円。
きのことチキンと吉田戦車がカレーにベストマッチでした。